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19 November 薬価はこう決まるの巻新薬を製造・輸入するためのデータは治験で作られる。そのデータをもとに「この薬は日本国民にとって役立つ」ということになると厚生労働省が「製造・輸入」を承認する。そのあとで薬価が決まる。薬価は全く新規の薬剤の場合と、類似薬がすでにある薬では算定方法が違う。全くの新薬の場合は「原価積算方式」、類似薬がある場合は「類似薬効比較方式」となる。原価積算方式の場合、薬の原末の価格がいくらで、それを海外から輸入して工場に運ぶ運賃がいくら、治験にいくらかかった、など、製造、輸送コストや治験にかかった開発費など、すべてを積算する。この際「効果判定委員会参加のための○○先生タクシー代」なんていう項目も資料に出てくる。○○がんセンターの先生のタクシー代6万円、えっ! 東京からMSMまでタクシー使ったわけ??、本人の顔を思い浮かべることができる場合もあるので有意義だ。それとか○○米医大では治験1症例あたり200万円、○○県がんセンターでは50万円、どうして施設によってこんなに違うの??とか、○○大学病院では、5例の契約で800万円の治験契約が結ばれたが、実際治験を行った症例は2例、でも5例分の治験費用が支払われている、など、今話題の業務仕分けをすれば、すべて減額の対象のような項目ばかりだ。また「原価積算方式」では、営業利益率が20%と設定されている。これは、たとえば1錠582円のアリミデックスの場合、1錠売れれば117円がアストラゼネカ社の利益となるという計算だ。お商売をやっている人なら、え~っ、と、びっくりするだろう。470円で仕入れたものが582円で売れる、仕入れ値の25%増しの値札をつけるなんてよっぽどの殿様商売だ。医療機関ではどうだろう。このご時世、医療費はどんどん削減されている。営業利益率は、医療機関では、「医療収益のなかでの可処分所得の割合」であらわされるが、これは10%以下、数%の場合が当たり前である。その上、消費税は医療機関もちとなる。すると、利益率4%というような場合は5%の消費税を医慮機関で支払うので、マイナス1%の逆ザヤとなってしまう。世の中の経済の仕組みがおかしいように感じる。医療機関あっての製薬企業なのに、製薬企業の利益率は20%、医療機関は赤字・黒字線上をさまよっている、こんな理不尽なことがあるだろうか!!!! ざけんじゃねー!!・・(失礼)。一方、新薬でも、類似薬がすでに市場に出回っているような場合、その類似薬の価格をもとに、どれぐらいの新規性があるか、有用性があるか、ということで加算されて薬価が決まる(類似薬薬効比較方式)。たとえば、「○○スタチン(高コレステロール薬)」、「○○セトロン(抗がん剤の制吐剤)」など、新薬といっても、既存薬に毛の生えた程度のジェネリックみたいなものもある。その場合には、有用性加算は「ゼロ」で、既存薬と横並びの薬価となるのだ。また、「原価積算方式」でも「類似薬薬効比較方式」でも、海外価格との差を最後に調整する。海外価格に比べて、著しくことなる場合には、高くしたり、低くしたりと調整するわけである。ここで、問題となるのが「海外価格」。諸外国は一律かというと全然違うのだ。アメリカがダントツに高い。イギリス、フランス、ドイツなどは、ほぼ横ならび、薬剤によってはアメリカの価格が他国に比べて3-5倍ということもある。海外価格を平均するとアメリカの価格に引っ張られるので、それに合わせるとなると日本での価格が上方修正されてしまう。アメリカをお手本に生きてきた人々(アメリカでわの守)や、外資系製薬企業は、アメリカ並みの価格をつけないと、日本のドラッグラグ(世界で使える薬が日本で使えないという状況)は解消されない、ととんでもない馬鹿なことを言う(ロハスメディカル11月号対談参照)。しかし、医療費の仕組みが根本的に異なる国「アメリカ」を参考にするのは意味がない、と最近考えている。イギリス、フランス、ドイツなどは、医療費の公費負担率は、日本と同じ80%であるが、アメリカは30%。つまり私費で賄われる医療費の割合が高いので、民間の保険(アフラックなど)に加入できるだけのお金持ちは、高い薬剤も使えるが、貧しい、あるいはふつうの人々からみると、とても高い薬剤ということだ。日本は、ふつうの人々の集まりなので、アメリカを参考にしてはいけないのである。いや、日本は貧しい国の仲間入りをしているので、日本の薬価は海外での薬価の最低値よりも低く設定するべき時代になっているのである。日本は貧しい、という認識をもって各製薬企業も考えないといけない。貧しい国なので新薬が認められていないのは日本と北朝鮮だけ、ということでも仕方がない、お寒い季節の到来だ。 15 November 浜松大腸がん情報局発進!浜松乳がん情報局市民公開講座は来年の2月14日に「第9回」を開催します。その1カ月後の3月14日に第1回浜松大腸がん情報局市民公開講座を開催することになりました。乳がん情報局同様、NPO法人がん情報局の主催ですが、主幹は浅野道雄先生(松田病院)です。乳がん情報局の活動を知った浅野先生が、大腸がんでも同様の情報提供活動ができないものか、と相談にお見えになったのが今年の春だったと思います。浅野先生はデータベース、ファイルメーカープロを用いた外来化学療法管理支援ソフト「All About Chemo!!」を作成した際の私のお師匠さんです。その縁でいろいろ教えてもらうことも多く、また、それが今回のコラボに至ったわけです。「あなたの疑問にすべて答えます。」という、決してはぐらかさない、にげない、言いにくいことも、ややこしいことにも、すべて真っ向から答える、という乳がん情報局のノウハウを生かして大腸がん患者にも安心の素になるような情報提供をしたいと考えております。ご支援、よろしくお願いいたします。 12 November こいつらやっぱりだめだね土曜日の午後など講演のため浜松から上り、下りの新幹線に乗る。新幹線車中では、アテンドのMRから今日の講演の聴衆は医師だけなの?、コメディカルもいるの?、全部で何人なの?・・を聞いて、講演スライドの最終バージョンを作る。ときに駄目なMR、あるいは駄目な企業だと、「本日は先生方だけです。」というのでそのように準備して行ってみるとコメディカルの人たちのほうが多いこともある。そんなこんなで、いつも講演行きの車中は多忙なのだ。ある日、浜松駅から乗ったらどこかで見たことのある老人一団が、ばらばらと乗ってきて同じ車両になった。彼らは医師会のお歴々で、おそらく東京あたりまで行き、○○研究会の全国シャンシャン大会にでもでるのだろう、見たことのある某社MRもへこへことついていた。私は上記のようにスライド調整に専念し途中駅で降りたのだが、その時おどろいた。彼らは真っ赤な顔でがやがややっている。ビール飲んで盛り上がっているではないか。これから、仕事ではないにしろ勉強に行くというのだろうけど呆れたものだ。こんな連中が医師会を仕切っているとしたら、やっぱりだめだね、こいつらでは。日医と合わせて浜医もおしまいだね、うん、それでいいと思う。 02 November 沖縄の風週末は、琉球乳腺倶楽部の講演に行った。沖縄には10年ぐらい前から毎年、乳がんの薬物療法の話で宮良先生によばれてお邪魔しているが、年々、レベルが向上しているのがわかる。昨年は、「転移性乳がん薬物療法の正しい進め方」というタイトルで、自治医大から研修で来ていた佐藤政広先生に症例提示係をお願いした。ことしは田原梨絵先生が同行したが、事前に最近の私のスライドを渡して、こんなふうにやればいい、と説明しただけで、素晴らしいプレゼンテーションを作って発表もきちんとしてくれた。やはり指導者がよいと若者は伸びる。ここでいうよい指導者とはおれおれ自我自賛。まず、私がSt.Gallen2009のふたつのポイント「病型分類アンド閾値確認」を解説、また、UFT vs.CMFや、CALGB9344 トライアルのサブセット解析の話をして「がちがちのエビデンス原理主義ではよくないぞ」という話をした。宮国先生がスマートな司会をしてくれた。引き続き田原梨絵先生が5症例を提示しながら「病型分類アンド閾値確認」という流れで会場とインタラクティブに話を進めた。この部分は私が司会をして、会場の参加者に、だれかれ構わずがんがん当てた。私は検査技師なので、とか、私は看護師なのでわかりません、というようなことは全く関係なく「病型分類アンド閾値確認」方式で進めていくと、誰でも正しい治療選択ができるのだ。これは実に驚きだが、まさに、「技」として、伝達可能なノウハウなのだ。このようにすれば、スムーズなチーム医療ができるのだ。チーム医療を箱もので考えるのではなく、このような技術を開発することのほうが大切であることを痛感した。
技のポイント;
病型を、liminal A, luminal B, HER2病、Basaloidにわける。
閾値表をみながら、「閾値越え」を探す。
luminals については、閾値越えがあれば、ケモを加える。
どんなケモを使うかは、患者の意向を考慮して選択する。
それにしても今回使った新築の医師会館にしても、昨年のテダコホールにして、信じられないほどのゴージャス建築だ。すべて、思いやり予算のような補助金でできているのだ。いくら基地があるからといって、沖縄はすこし甘やかされているような気がした。
26 October これがほんとのキンテンカ癌治療学会3日目の午前中は「原発不明がん」のシンポジウムがあった。癌治療学会で原発不明がんが独立したシンポジウムとしてとりあげられるなんて、ちょっと前までは考えられないことだったし、そもそもシンポジストとして壇上に並ぶ腫瘍内科医なんて佐渡の朱鷺よりも少なかった。それがどうでしょう、司会には国立がんセンター中央病院の安藤正志先生、そしてシンポジストには兵庫県立がんセンターの松本光司先生、国立がんセンター中央病院の米盛勧先生、栃木県立がんセンターの山中康弘先生らが壇上に並ぶ。彼らの発表態度はすばらしく、スライドもわかりやすく、主張もしっかりしていた。さすが私の弟子だけのことはある、どんなもんだい。彼らは指導者がよかったのか、会場で私のことを見つけると、にこにこして「よろしくおねがいします」とわざわざ挨拶に来た。こういうのは大変うれしいしかわいいものだ。私も学会で恩師に会えば必ず出向いて挨拶するようにしている。だがしかし恩師でもなんでもないKKZEなんかは当然無視だっち。それで弟子ひとりが弟子を3人育成すれば二代目で9人、三代目で27人・・。まるでネズミ講ですね、といわれるがそれでいいのだ。このスピードでいけば朱鷺を抜いて、アッという間に腫瘍内科医不足など解消するはずだ。私が国立がんセンターにいたころは腫瘍内科医が少ない、少ない、足りない、足りないといわれ、永遠の絶滅危惧種のように扱われれ、「やはり化学療法は外科医が担当するのが望ましい」なんて言われた。また、呼吸器内科医や消化器内科医なのに、腫瘍内科医と名乗ったりするような「鳥なき里のこうもり」現象も。しかし、腫瘍内科医ネズミ講計画は着々と進んでおり、あちこちの施設に羽ばたいていって活躍しているさまは、佐渡の朱鷺みたいだ。これぞ、本当のがん診療の均てん化だと思う。一方、いつまでも築地市場裏を巣立つことができない我が良き友たちもいる。さあ、君たちも早く朱鷺になってみたまえ、楽になるぞ。
17 October 絵に描いた松茸「病診連携パス」【茨城発】やっぱり、やめたほうがいいだろう、乳癌診療の地域連携クリニカルパスなんが作るのは無意味だ、と、昨日、茨城県水戸で、病診連携のパネルディスカッションに参加してそう思った。茨城県もここ数年、乳癌診療に取り組む乳腺科医師が充実してきてすばらしいメンツがそろっている。そんな先生方とかなり本音のディスカッション。おもしろかったです。そもそも乳癌診療に興味がない、あるいはやったことがない診療所の医師に、ホルモン療法だったら簡単だから診てよ、なんていうこと自体、ナンセンス。一体全体、誰が言い出したんだ? 病診連携クリニカルパスなんて。所詮、はこもの的発想しかできない厚労省系統の頭のかたく、現場を知らない小役人の発想だと思う。そんなん、やめたほうがいい。大切なことは、地域に入り込んだ「セブンイレブン(ファミマでも可)のような街角がん診療」を実践できるような「高機能がん診療所」をつくること、やっぱりこれに尽きる、と、改めて認識した。政権交代の突破口を作ったのは茨城だ、と主張していたご高齢の先生がいらっしゃったが、その勢いで、ぜひ20世紀型の古臭い、上意下達型組織論に基づくがん診療拠点(きょとん!)病院構想を白紙撤回してほしい、えいえいおー!! 11 October 抗がん剤に関するQ and AQ1 ご無沙汰しております。今日は同門で最近乳腺に力を入れられている先輩からうけた質問のことでメールさせていただきました。Luminal Aのような予後の良いタイプでホルモン感受性が陽性でもadjuvantに化学療法を行う場合の見極めや、化学療法を行う根拠となる論文はあるのかと聞かれて、渡辺先生が知り合いなら聞いてもらえないかといわれました。基本的にはSt. Gallenのrisk分類などを参考にして、大きさやリンパ節転移などのriskが高ければホルモン陽性でも化学療法を追加する考えでよいと思うし、エンドキサンの卵巣機能抑制効果をねらってACを追加することもあるみたいですよ、とは伝えておきましたが、何かアドバイスがありますでしょうか?
A1 Luminal AとLuminal Bは、本来はマイクロアレイを用いた多遺伝子発現分析とその結果をクラスター分析をして、正常の内腔細胞(luminal cell)に生理的に発現している遺伝子にどれくらい似ているか、という観点から、まず分類されました。そして、それぞれの特性を調べてみると、Luminal Aには、ホルモン感受性が高い、分化度が高い、悪性度が低い、というような生物学的特徴を示すものが多く、臨床的にも予後がよく、ホルモン療法がよく効くということが報告されるようになりました。一方、Luminal Bは、ホルモン受容体陽性でも、発現している細胞の割合が低いとか、ERは陽性でもPgRは陰性とか、HER2の発現が認められている、Ki67発現細胞の割合が高い、などの生物的特徴や、ホルモン療法だけでは予後がわるく、抗がん剤の追加が必要だろう、ということが示されています。それで、マイクロアレイを用いた多遺伝子発現分析とその結果をクラスター分析を行わなくても、ER陽性(50%以上)、PgR陽性(50%以上)、HER2陰性、グレード1のような場合には、近似的にLuminal Aとみなして、ホルモン療法だけで治療、抗がん剤は行わない、というような判断が成り立つと思います。腋窩リンパ節転移が1-3個ぐらい陽性でも化学療法は行わない、ということも一般的です。この考え方はSt.Gallen2009でしっかりとしめされており、論文の表3の域値はまさに、Luminal AとLuminal Bを区別するものであると考えてよいと思います。 閉経前で卵巣機能抑制を目的としてACなど、エンドキサンを使用するという考え方もあります。しかし、卵巣機能抑制が目的なら、LHRHアゴニストという、そのための専用薬があるのですから、それを使用するほうがよいと思います。エンドキサンは、二次性白血病の懸念などがあるので、注意が必要だと思います。
Q2 当院の前任者も含めて、この地方近辺ではXC(ゼローダ+エンドキサン)を積極的に行うようですが、進行再発乳癌でゼローダ単剤よりもXCでいくほうがよいのでしょうか。エビデンスとしてはまだはっきり出ていないように思っていたのですが。いまも30歳台で多発肝転移のあるStageⅣ乳癌の患者さんがいるのですが、triple negativeで、FECがPD、ドセタキセルも3サイクル後ですが、肝転移は変わらないのですが原発巣がやや大きくなってきています。腫瘍マーカーの上昇が止まってきたのでご本人、ご家族とも相談しもう2サイクルほど継続予定としましたが、PDだったらその次はナベルビンか、ゼローダ単剤か、あるいはXCか、TS-1かと思っております。XC療法の位置づけについて、もし先生のお考えがあればお聞かせいただければ幸いです。
A2 XC は使用しません。併用の意味はありません。ゼローダは単独で使用、エンドキサンとの併用は根拠がありませんし、二次性白血病の懸念などから、エンドキサンはなるべく使用しないほうがいいと思います。ゼローダは単独でも十分に効果のでる薬だと思います。また、再発乳癌の化学療法は基本的には「単剤で一剤づつ」という原則を否定するようなエビデンスはありませんので、可能限り単剤で使用します。 05 October 富士山静岡空港週末は金曜日に前橋、土曜日に宮崎と講演会の連続で、浜松→東京→高崎→前橋→高崎→東京→宮崎→福岡→静岡空港→浜松という行程での移動。今日は早朝、宮崎から福岡に移動、福岡空港9時10分に離陸したJAL3811便は大分空港を眼下に見ながら、佐田岬半島から四国山脈を縦断し高松市から紀伊水道を飛び越え、和歌山市上空から紀伊半島にはいり、英虞湾上空を過ぎたあたりから高度を少しづつ落としながら進路を南にとり、浜松の沖はるか遠州灘から御前崎沖に抜ける。その辺りから、左手に富士山に姿がくっきりと見えてくる。第6回中部地方槐のテーマ「すそ野を広げよう、中部乳癌診療」の写真よりもはるか沖合で、目の高さが富士山の山頂ぐらいになる。そして、伊豆半島先端の石廊崎上空手間で、大きく左旋回をすると富士山が今度は右側に見えてくる。今日は少し霞がかかっていた。これが本当の霞富士雄、なんちゃって。3811便はなおも高度を下げ、河口上空から大井川右岸に沿ってゆっくりと飛んでいく。ここまで降りると富士山頂は普段見上げるぐらいの高さだ。車輪を出して高度がさらに下がっていくと眼下は一面のお茶畑だ。自動着陸誘導装置が稼働しているため、着陸はスムーズで10時35分、予定どおり富士山静岡空港に着陸した。着陸時に、そして離陸時にも、富士山を上から下まで、下から上まで観賞することのできる空港はここしかない。だから、静岡空港とは呼ばす富士山静岡空港と呼ぶのだねと納得。空港から浜松まではタクシーで40分ぐらい、MRの不手際で早朝から飲まず食わずの腹ペコで状態で自宅到着、お昼には堀口先生から頂いたうどんをおいしく頂きました。宮崎から浜松まで4時間弱、便利で楽しい空の旅、JALが撤退しないことを願うばかりなり。
02 October 医局がすき、だと~?「医局に人生を預けるな」という本を書こうと思っているんだと、常日頃、周りの人々に話しているのだが、そんな私に、「先生、ぜひ、読んでもらいたいものがあります。」と、乳腺科の田原梨絵先生がにこにこしながら雑誌を持ってきた。見ると表紙には「やっぱり、医局がスキ」とあり、雑誌のタイトルは「Nikkei Cadetto」、35歳未満の医師を対象に日経が出している雑誌だ。ほかに、「理想の白衣をつくちゃお!」 なんていうおちゃらけた記事も載っている。こんなくだらない本があることを初めて知った。さすが日経だ。 「やっぱり、医局がスキ」の中身を読むと、アンケート結果を何となく集計したような記事でインパクトはとても弱い。「教授の奥さんに手下のように使われた。」とか、「教授が考えだした聞いたこともないような病型分類を使わないと教授が怒る」とか、医局の不合理が匿名で並んでいる。そのあとで、私たちの医局はこんなに素晴らしい、と教室員一同の集合写真や、教授、医局長の笑顔のならんだよいしょ的ルポが続く。最後に、医局秘書の特集までついている。あきれた記事だ。医局に身を置かない人は医局をまったく評価していない。だけど、医局の同門であるというしがらみは一生抜けないので、実名では医局を批判できない。一方、医局一筋の典型である教授や、その太鼓持ちの医局長なんていう人たちは、医局しか知らない、井の中の蛙が多い。だから医局は素晴らしい、医局にいれば死ぬまで安心だよ、とまるで地上の楽園、北朝鮮のようなことを言い、医局を批判する連中は医局に残れなかった負け犬さ、となる。でも、医局はどう考えても消滅すべきある存在だ。医師以外で、医局のような中途半端な、前時代的な仕組みがあるのは、相撲部屋ぐらいだ。 「Nikkei Cadetto」の記事には、肝心なことが抜けている。しかし、35歳以下のくちばしの黄色い連中には、理解できないことなのかもしれない。肝心なこととはこうだ。 2004年に始まった研修制度は、医療崩壊の引き金になったとか、いろいろと批判も多い。手直しはされたが、さらに骨抜きにもなった。だからと言って時代錯誤的な「医局」に戻ることを推奨するなど具の骨頂だ、ノスタルジア、懐古趣味、古き良き三丁目の夕日の世界だ。Nikkei Cadettoの記事は、表紙の「やっぱり、医局がスキ」とは裏腹に実は、医局に将来はないということを明確に物語っている。新しい研修制度がどうこう、医局がどうこうというのではなく、35歳以下の若者が目指すべきことは、自分の人生は自分で切り開くということだ。そのためには、自分の付加価値を高めること。若かろうが年配であろうが、すべての医師には目には見えない「値札」が付いている。その値を決めるのは、患者である。医療者としての価値を高めるような研修を積んで、社会保障の一翼を担う天職を選んだ誇りと自信を持てるように日々の研鑽が必要だ。学位を取るのも付加価値を高める一つの手段ではあるが昔ほどの価値はつかないかもしれない。現在の専門医も制度的、内容的にはお粗末極まりないけれども、今後は名実共に医師の付加価値を裏打ちするような肩書になっていくだろう。また、医師としての基本的な態度、素養、コミュニケーションなどの技術、EBMの考え方、実践方法などを身につけ、世の中の役に立つような医師になろう、という志が大切だ。コンタクトレンズ外来とか、美容形成とか、くその役にもたたないような職業は医師が担当する仕事ではない。医師は、医師としての世の中から求められるような重要な職責を全うし続け85歳になったら社会的責務に幕をひく。90を過ぎてまで老醜をさらすべきではない。足元が明るいうちにグッドバイ、ということも大切ですよ、ひのじい、すぎじい、○○じい。 医局に人生を預け、ご気楽ご気楽な生活をエンジョイする時代は終わったのだ。待遇がどうこう、拘束時間がどうこうと愚痴ってばかりいて、拘束時間は小説を読んで、時間がくると風のように立ち去る、医局から派遣されるアルバイト医師には、こんな行動をとる情けない人間が多いそうだ。しかし、自分の付加価値を高めるためには、医師としての自分が、世の中から、周囲から求められる仕事は何か、つまり自分のミッションはなんだろう、それを心得て情熱をもって、つまりパッションをもって、朝から明るく夜まで元気に、つまりハイテンションで仕事に臨む。この、ミッション-パッション-ハイテンションが重要なのである。この雑文も、「医局に人生を預けるな」の一部となります。 15 September 楽しかった中部地方会9月12日、13日と、浜松アクトシティーで乳癌学会中部地方会を開催、730名の方々にご参加いただきました。テーマを「すそ野を広げよう、中部乳癌診療」としました。その意図をもう少し突っ込んで言うと、いま、やたらに品質品質、専門専門、認定認定、安全安全・・・と、見果てぬ夢の高レベルがあちこちで求められています。しかし、そんな高レベルなことって、そもそも実現できるはずもない。高レベルを目指す、という姿勢、意気込み、努力は、当然必要ですが、結果として完璧でないと許されない、みたいな、窮屈な、窒息しそうな世の中になっています。乳癌診療の領域をそんな風潮があって、「なんか敷居が高いね」というような感じで、若い人たちや、気持の若い人たちが敬遠してしまっているところがあります。現実問題としては、そんなこと言ってられなくって、医師も看護師も技師も薬剤師もコーディネーターもすべて足りないという状況で、やる気のある、元気のある、前向きで、実直な人たちが、せっかく乳癌診療に興味を持って勉強したい、といっているのに、そんなにハードルを高くして何の意味があるんですか? もっと仲間を増やそうよ、というのが、「すそ野を広げよう!!」の背景にあります。前例がない、とか、他とのバランスがとれない、とか、そんなこと言っている時ではありません。思い切って、欲張って中身の濃いプログラムを用意しました。そしてそれぞれの担当者が素晴らしい仕事をしてくれました。皆さん二日間お疲れさまでした。そしてどうもありがとう。またがんばろうね。 03 September おかしな議論だね昨日、筑波大学泌尿器科の赤座先生が浜松に講演に来たので聞いてきた。タイトルは「がん診療の現状と今後の課題」。期待していったのだが期待はずれだった。というのは、話の中身が変なのだ。「腫瘍内科医と泌尿器科のテリトリーは・・」とか、「腫瘍内科医は、俺たちに抗がん剤治療は全部まかせろというが・・」とか、「すべての疾患を見ることができる腫瘍内科医は果たして存在するのか・・」など。前立腺がんを例に取って話そう。
①PSAが上昇してきた60歳の男性。前立腺触診をしたら硬結がふれた。前立腺がんの可能性が高いから泌尿器科を紹介した。生検の結果前立腺がん。前立腺全摘して、限局型(遠隔転移がない)なので、引き続き腫瘍内科でフォローアップ。
②大学病院泌尿器科で前立腺がん骨転移で、ホルモン療法(LHRHアゴニスト、カソデックス、エストラサイト)などを実施4-5年はコントロールできていたが増悪。さまざまなホルモン剤のさまざまな投与方法が試みられたがPSAは増加の一途。ホルモン不応性と診断され、ドセタキセルが使用されたが、白血球が1500になったという。ことで泌尿器科では投与中止。その後、再び、ホルモン剤が繰り返されたが奏効するはずもなく痛み増強。肝転移も出てきた。腫瘍内科ではドセタキセルの使用は手慣れたもの。うまくマネージして緩和的化学療法成功。
これらふたつの事例のように泌尿器科医が腫瘍内科と協力して患者にとって最善のアプローチをすればいい話だ。冒頭のようにテリトリーとか、お前らは手を出すな、みたいな話はおかしいのだが、そのような話になってしまったのは西條さんがわるい。「肺癌の化学療法しかわからないにせ腫瘍内科」といわれても仕方がない。そうはいっても西條さんは自民党のあほう元首相と同じで過去の人だ。おかしな議論はここらへんでおわりにしましょうね、赤座先生。 02 September サーバー故障現在、twatanab@oncoloplan.com などの、XXXX@oncoloplan.com メールと 医療法人圭友会浜松オンコロジーセンターホームページ(http://www.oncoloplan.com )が使用できない状況になっています。これは、サーバーが故障したためで、明朝には復旧するとのことです。昨日(月曜日)朝から、メールの送受信がほとんどできず、静かな二日間を過ごしております。ご迷惑でしょうが、連絡がつかないのでご容赦ください。緊急連絡は、toru999wata@docomo.ne.jpまでお願いします。 26 August 全部答えた市民講座日曜日に第8回の浜松乳がん情報局市民講座を開催しました。200名をこえる参加者で会場は少し手狭でした。次回はもう少し広い部屋をとります。事前に寄せられた53の質問にたいしてパネリストで分担して全問回答を達成しました。もともとこの市民講座は、あなたの疑問になんでも答えます!というコンセプトで2006年から開催しています。事前に質問を募集する→ある程度集まったところで準備会①でパネリストに割り振る、会の1週間ぐらいまえに準備会②で各パネリストの回答をみんなで見て聞いてあーだこーだ、と批評して、そして会の当日の午前中に、準備会③で最終チェック、といった手順で、質問に真正面からどっしりと答える、ということを旨としてきています。終了後に、参加者からの意見を読みながらの中華料理を食べながらの反省会で、改善できるところは改善していこう、つぎはどうしよう、ということを相談する、といった流れであります。
全部答えるためには、かなりぐいぐいと進めなくてはいけませんが、参加者からの意見はおおむね、よかった!! 全部答えてくれたありがとう!! という花丸評価でした。中には、あつい、さむい、せまい、時間が長すぎる、とか、いろいろと文句が書いてあるのもありますが、そういうのはそういうので、一応は読んでおくけれど、こっちもこれだけ一生懸命やっているのだからつべこべ言う人はこなくてもいい、というのがちらっと見える本音なのかもしれないという意見もあったりなかったりと、難しい問題で、まあまあまあ、というとこどろです。次回は2月14日です。つべこべいわない方々のご参加をお待ちしています。
17 August 治験やめたらどうよ?CRCの方からのお尋ねがあった。「CRCとして治験業務はかなり忙しく興味もあるのだがいまひとつ、やりがいが感じられない。」ということである。その方は看護師であり内科病棟などで10年近くの勤務歴があり、病院が治験に積極的に取り組むことになったので治験管理室に配属となったそうだ。がん治療薬の治験も手掛けているが、モニターとのちまちましたやり取りや、意味があるかどうかわからない取り決めやら、また、自分の判断で進めていはいけないことが多かったりと、フラストレーションの毎日なんだそうだ。CSPORの臨床試験の仕事には関与していないそうだ。医師、看護師といった医療職を数年経験すると「患者さんに感謝される」ということがやりがいの根源であるということに気づく。日々の診療ではその連続であり仕事の主たる目標は「社会貢献」であり、その直接的な目印が患者さんからのありがとうございましたの言葉である。CRCとして被験者と接することは多いだろうし、CRCセミナーなどで話を聞いていると、治験業務を通じて、被験者である患者から深く感謝されるということもあるにはあるようだが、それほど多いことではない。自分が手掛けている治験によりよい薬が世の中に出て、それによって不特定多数の患者から感謝される、ということは理屈としてあるわけだが、最近のように、愚にもつかないような「承認申請のための治験」は、やってもやらなくてもいいわけで、製薬企業には利用され感謝されるが、看護師という医療職に身を置くものからしてみると、うれしくもなんともないだろう。その点、標準治療を変えうるような医師(研究者)主導型の臨床試験では、CRCとして参画した場合、被験者との接触も長期間に及ぶし、得られた結果が、多くの患者にとって役に立ちうるものである、ということを体験し実感できるのである。治験で雇われたCRCは治験以外の臨床試験には関与してはいけない、というみみっちいことを言っている病院は数多いが、そういうところでは、CRCの自己実現を通じた満足度はとても低いのだ。やりがいがないとかんじるのは、医療職としての活躍の場があたえられていないからなのだ。しょうもない治験の業務などやめて、CSPORの臨床試験業務を担当してみると、きっと、自分の立ち位置が見えてきて、さっそうと病棟や外来を動きまわる美しい自分の姿を見つけることができるだろう。製薬企業のお先棒をかつぐようなみみっちい治験なんて、やめてしまったらどうよ? とその方に言ったところ「そうですね、かんがえてみます。ありがとうございました。頭の中がすっきりしました。」と言っていました。しかし、治験を受託しないと病院に収入にならないし、あなたの給料もでないでしょうから、「治験は治験、ビジネスとして割り切り、CSPORの臨床試験の仕事を通じていきがいを見つけたらどうよ。」というのが現実的な助言となります。 10 August CRCセミナーから透かしてみえてくること世界的不況のなかでの生き残りをかけた製薬企業の強烈なエゴ、分子標的薬剤の乱発、手順主義の過剰重視、植民地支配的グローバルトライアルの横暴、あんぽんたんな開発モニターによる頓珍漢な対応・・・などに振り回されるかわいそうなCRCの姿を今回も認識しました。とくに分子標的薬剤が無秩序、無限にまるでガン細胞のように節操なく、各社のエゴで乱発される結果、グローバルトライアルの美辞麗句のもと、質の低いモニターが雇われて、行われる治験が多数行われているのが現状です。治験、治験に追いまくられ、本当に患者のためになる臨床試験に参加する機会を与えれず、自らの社会参画の成果を体感することなく燃え尽きていく哀れなCRCも多数いるようでした。 04 August 若い医師に送ることばMくんへ 医師としての人生は、患者からの要望や質問、恩師の助言や指導、同僚からの意見や批判、後輩からの質問や突き上げなど、周囲からの様々な刺激などをきっかけとしながら、自己研鑽を継続していくことがとても大事です。だれでも50歳近くになると、なんとなく、自分だけでなんでもできるし、他者からの批判や意見はうっとうしくなり、いつの間にかカンファレンスや学会などにも出なくなる医師がいます。医師という職業を選択した以上、勤務医であっても開業医であっても、患者に対して社会的責任を果たさなくてはなりませんから、決して自己都合や個人の欲望だけで行動していてはいけません。医師としての社会的責任を全うするには、ある程度、厳しい環境に身をおきながら、周囲と自分との相対的な距離みたいなものを意識しつつ、生涯にわたり学習を続けていかなければなりません。そうしないと唯我独尊的行動に陥ります。そのような状況に気がつかないことも多く、そうなると、そこから先の伸びがありません。医師としての長い人生を最後までさわやかに生き抜くことは容易なことではありません。軌道を逸脱してしまった事例をたくさん見ていますが、決して他人事ではなく、あすはわが身と心得なくてはいけません。これからの人生、integrityを失わず、研鑽に励んでください。
8月3日 先輩医師より 30 July 帯と襷の電子カルテ国立がんセンターにいたとき日立の時代遅れの診療支援システム「トランプ」を使わされてあまりの使いにくさにひたすら文句を言い続けました。すると文句を言うならお前やれ、ということで次にIBMの診療支援システムを導入する際に小山博史先生たちといっしょに導入側ユーザーのまとめ役となり「ミラクル」を命名してこれを導入しました。ミラクルでは、とくにがん化学療法オーダリングシステムに知恵と工夫をつぎ込み、あらかじめのレジメン登録やインターバルチェック、体表面積当たりの自動計算など、をできるような仕様をIBMに要求しました。この際、あらかじめ登録するレジメンを薬物療法の専門家に審査してもらうように「レジメン委員会」を立ち上げたのですが、それが、なんと昨年度から導入された外来化学療法加算の算定要件として「レジメン委員会を定期的に開催すること」に採用されててしまっておおごとになってしまったわけです。IBMは我々がつぎ込んだノウハウをうまいこと利用し全国の病院の電子カルテ導入に大成功し大儲けしているそうです。
浜松オンコロジーセンターでは、2006年4月から検査会社BMLが作っている電子カルテ「メディカルステーション」を導入しました。大病院の電子カルテが富士通、IBM、NEC、東芝といった名の通った大手であるのに対して、クリニックではもともとレセプトコンピューターから発展しているので聞いたことのないような小粒メーカーが乱立しています。検査オーダーとのリンクがやりやすいことから、BMLのメディカルステーションを導入したのですが、使い勝手は全然よくありません。所見記録欄はどちらかというと「ワードによる紙芝居」程度。紹介状作製機能は最悪で、画面がフリーズしたようになって数分待たされます。これをBMLにいったところ「クリニックでそんなにたくさん紹介状をかくところはないので、そのような機能には対応していません。」とのことです。浜松オンコロジーセンターでは、セカンドオピニオンの患者さんが多いので、全国各地の病院の先生に返信を書かなくてはいけません。そうすると、宛先のデータベースは膨大なものとなりますが、BMLの電子カルテはとても非力なので対応できないわけです。文句を言い続けたら、エクセルで作ったアドインソフトみたいなものを持ってきて、これで我慢してくれ、ということで不便を強いられています。また、あらかじめのオーダーができません。来週の化学療法を準備しておくための未来予約ができない仕組みになのです。これは、クリニックがそもそも計画診療よりも、行き当たりばったり診療をするということが前提になっているのだろうと思います。ただ、レセプトコンピューターから進化しているので、検査、処置、処方などの医療行為の一つ一つの保険診療が何点か、ということはリアルタイムでわかります。また、医師当たり、診療科あたりの診療報酬が簡単に表示できるので、えすれい病院のように医師の給与明細に「今月の先生の稼ぎは○○点」と出すこともできます。
週1回勤務している杏雲堂病院では、電子カルテは東芝製のものを使っていますがとても使いにくい。その原因はユーザーの要望がほとんど考慮されていないようで、たとえば、先週に事前処方しておいた抗がん剤レジメンで、投与量を変更するような場合、一度、オーダーをキャンセルして画面をとじて、もういちど、その患者のカルテを開き、新しくオーダーしなおさなくてはならないという、手間がかかり、ユーザーフレンドリーではありません。紹介状作製機能もいまいちどころかいまごです。ワードで作製すべき文書をエクセルで作る仕組みになっているので、紹介状文面で、改行もできなければ段落もつくれず、太字にするとかの、編集機能が全く使えないのです。東芝がエクセルで手紙を書くという判断をしているのが理解できません。この電子カルテは、私が生涯、出会った中で最低ランクです。
月一回勤務している青森県立中央病院では、電子カルテはNEC社製です。これは、かなり使いやすいのですが、ユーザーの声を聞きすぎているのか作り込みが激しく、機能満載ととなっていて、どこにどの機能があるのかわかりにくいという難点があります。しかも、月一回の勤務なので、前回学習したこともすべて忘れているので、いつも、えーっと、えーっとという感じですけど、毎回看護師の太田富美子さんが手伝ってくれるので、その日の午後には自分でも操作することができるようになります。でも1か月後には、また忘れる、という繰り返し。過去の抗がん剤治療履歴などが、もう少しわかりやすく参照できるともっとよいでしょう。
電子カルテは今後すべての病院、診療所に導入されていくでしょう。ご年配の先生で電子カルテに不向きな先生もいるようですが、その場合には傍らにかわいいクラークのお嬢さんが常駐してくれるので、電子カルテできませーんのふりをしたほうが労務環境は良くなるかもしれません。使い勝手が悪いもの、機能が不十分なもの、逆に、機能満載で、めちゃくちゃ高価なものなど、どれをとっても帯に短し襷に長し、というのが現状でしょうか。病診連携を考えた場合、現在のように、メーカーが違うと全く互換性がないような仕様では話になりません。互換性があれば携帯をドコモからソフトバンクに切り替えるように、電子カルテも他社製品に乗り換えることも容易となり、だめなところは消え去っていくということになるでしょう。ホスピタル仕様とクリニック仕様を区別することも不合理なことです。これも考え直してほしいものです。 21 July しゃんしゃんの夕べお薬は効果あっての副作用 リスクばかりをなんで強調? (読み人知らず)
タイケルブが発売され、しょうーもないしゃんしゃん大会にも参加してきた。いつも思うことだが新しい薬剤で、たとえタイケルブのようにそんなに副作用を心配する必要のないような薬剤でも、とにかく、副作用には注意しろ、副作用には気をつけろ、副作用を見逃すな、効果よりも副作用、安全性あっての薬剤だからと、どなたもこなたも強調する。薬は効果あってなんぼのものじゃろうが、と思うが、なぜ、こんな風潮が定着したのか。それは厚生労働省がわるい。薬系の技官が念仏のように、QT延長は大丈夫か、間質性肺炎は大丈夫か、というのが現在のはやりである。そんなにいうのなら根拠のないゼローダとの併用は見直すべきだ。 15 July 乳癌学会が終わって乳癌学会が終われば少しは楽になるかなと思っていましたが、そんなことは全然なくって毎日毎日診療に、講演講義に、カンファレンス、座談会などなど、めまぐるしい日々を過ごしております。そんな日々のさなかでも、日曜日には帰省した息子の卓(たく)と浜名湖にカヌーツアーに出かけ豊かな自然のなかでとてもうれしい一日を過ごしました。日焼け対策を全然しなかったのは失敗でしたが・・・(痛い)。また4月から浜松オンコロジーセンターに参加している田原梨絵先生も、持ち前の明るく積極的なキャラ、さすがわが後輩北大卒だけあって冷静沈着で思慮深く、なるほど聖路加育ちの臨床力の奥深さを発揮して頑張ってくれています。山形のお母さん、ご安心ください。
さて、第6回乳癌学会中部地方会も運営委員会メンバーの努力と工夫で、着々と準備が進行しています。口演、ポスターも演題決まり、ポスターは領域ごとに分類して配置、会場での自由な討議の展開を期待しています。「すそのを広げよう、中部乳癌診療」というテーマですので、初学者、初心者にも乳癌診療にこれから参加してもらえるように、教育セミナーを充実させてあります。中部以外の地域の医師(臨床も病理も)、看護師、薬剤師、病理技師、診療放射線技師や、医療系の学生さんたちも、是非、ご参加ください。詳細はホームページをご覧ください(http://www.med-gakkai.com/jbcs-chubu/)。練りに練った当番世話人挨拶を下記にはりつけました。学会は医療関係者限定です。
患者さん、ご家族の皆さんには、8月23日(日曜日)開催の「浜松乳がん情報局 市民公開講座」をご案内します。これは、今回で8回目です。恒例の「あなたの疑問にすべて答えます」では、事前にお寄せいただいた質問、疑問に可能な限り、正面から取り組みお答えいたします。また、今回は九州がんセンターの大野真司先生を迎え、「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」をご紹介いたします。専用申し込み用のホームページをご覧ください(http://www.ganjoho.org/entry/hamamatsu.html )。参加費は無料ですが、会場の都合上、先着240名といたします。
当番世話人挨拶
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浜松オンコロジ-センター 渡辺 亨
乳癌診療は、予防・疫学、検診、画像診断、病理診断、外科手術、放射線照射、薬物療法、精神腫瘍学、緩和医療といった幅広い領域に立脚しています。乳癌患者数と治療体験者(サバイバー)は依然として増え続け、女性の癌罹患率の首位を占める疾患として対応が求められています。我々医師、看護師、薬剤師、検査技師、診断技師はどのような取り組みが必要なのでしょうか。 乳癌の対応策として、マンモグラフィを用いた検診の普及のための努力が払われています。検診の実施、精度管理に関わる検診医、診療放射線技師の育成、技術力の向上や体制の整備により、検診の量的、質的改善を図る必要があります。さらに超音波診断がどの程度、検診手段として役に立つものか、MRIやCTを、果たしてスクリーニングとしての検診に活用できるものか、といった検討も現在進行中です。 しかし、それだけでは解決できない問題も多いのです。「治癒可能な乳癌」イコール「早期乳癌」という単純な時間的概念だけでなく、「悪性度」という生物学的概念にも意を向けることが重要です。それには、まず、正しい病理診断が必要ですが、乳癌を診ることのできる病理診断医は大幅に不足していますし、サイトスクリーナー、病理検査技師も十分とはいえません。病理診断もHE染色標本を使用した診断に加え、機能するタンパク質の発現を知る免疫組織化学染色、遺伝子の機能発現診断、染色体検査などの高度な技法も日常の臨床検査の範疇に含まれるようになってきました。このように一人一人の患者の乳癌を、生物学的特性という観点からとらえることが、治療の個別化の出発点となります。 治療は、最小の負担で最大の効果をあげなくてはいけません。画一的な治療ではなく個別的治療、生物学的特性に合わせた治療を目指さなくてはなりません。乳房温存術は標準的術式であり、そのためには術前化学療法が役立ちます。センチネルリンパ節生検は不可欠な外科的検査であり、腋窩リンパ節郭清の省略は、術後のQOLを大幅に向上させます。ハイレベルな乳腺外科医の手による手術はすばらしい結果をもたらしますが、そのような外科医は充足しているとはいえません。術前あるいは術後の薬物療法は予測因子(ホルモン受容体HER2)と予後因子(リンパ節転移、異型度、腫瘍径など)に基づいて、抗がん剤、ホルモン剤、トラスツズマブが使用されますが、正しい病理診断に基づく適切な薬剤選択、患者のニーズに合わせた情報提供、そして周到な治療計画に基づく万全の副作用対策が必要とされます。
初期治療を受けた患者の約3割は遠隔転移を来します。遠隔転移を来した場合、そこから治癒に持ち込むことのできる確率は1割以下というのが現実です。ここには、初期治療とは全く違った治療戦略があります。適切な目標を設定した包括的な治療計画を立てた上で、医療者も患者、家族も根気よく治療を進めていく必要があります。治療には「適応」と「限界」があるという現実をいかにして患者と共有するか、ということは我々、医療者にとっては、極めて困難かつ重要な課題です。緩和医療の専門的知識、技術は、すべての乳癌治療医が備えるべき臨床力です。また、しばしば、精神腫瘍学の専門家との協力が必要になります。 このように、乳癌診療には、多くの人材が必要です。本学会のテーマである「すそのを広げよう!中部乳癌診療」とは、中部地区での乳癌診療に従事する医療者の数を増やし、質を高めることです。この二日間の学会で、それが達成できるよう、関係各位の皆様のご協力、ご支援をよろしくお願い申しあげます。
07 July 新知事の人間性静岡県知事になった川勝氏はうちのすぐ近くにある静岡文化芸術大学の学長をやめて知事選挙に立候補しました。それでだけに親しみを感じていました。無名の候補でしたが人間性の感じられる演説、中身の濃い話、学者らしいウィットと教養の雰囲気、60歳という活力ある年齢など、彼自身の人間的価値そのものが評価されたものだと思います。民主党が推したとか、反自民とか、そういうことはあまり関係なく、本人の価値がきちんと評価されたものだと思います。どこに所属しているかとか、派閥がどこかとか、医局がどことか、そういった外形基準で人を評価するのではなく、個人として、あるいは仕事人として、その実力、人間性そのものを評価する習慣をつけるべきでしょう。人を評価する際もそうですし、自分の評価も、そのように考えるべきでしょう。
今回、乳癌学会でたくさんの若い先生にお目にかかりましたが、私に話しかけてくる人は、みんな、「どういう風に勉強したらいいでしょうか?」という観点で考えているようです。医局どっぷりの人生他人任せのような人は私には近づきません。きっと先輩から、そう言われているのではないかと思います。乳癌診療の真髄は、個々の患者について治療の全体計画を青写真としていかに描けるか、患者の状況に応じて、それをいかに実現できるか、を工夫できるかどうか、ということだと思います。現実の医療提供体制はとても厳しいものですが、その中での工夫をしながら、最善の医療を提供していこう、というインテンションが大切だと思います。
乳癌学会の専門医制度も現実に即したものに変わっていきそうです。自らの付加価値を高めたい、自分を磨いていきたいという若い先生たち、相談にのりますよ、洗脳もするかも知れませんが、イッヒッヒッヒ・・・・。 |
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