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    October 02

    医局がすき、だと~?

    「医局に人生を預けるな」という本を書こうと思っているんだと、常日頃、周りの人々に話しているのだが、そんな私に、「先生、ぜひ、読んでもらいたいものがあります。」と、乳腺科の田原梨絵先生がにこにこしながら雑誌を持ってきた。見ると表紙には「やっぱり、医局がスキ」とあり、雑誌のタイトルは「Nikkei Cadetto」、35歳未満の医師を対象に日経が出している雑誌だ。ほかに、「理想の白衣をつくちゃお!」 なんていうおちゃらけた記事も載っている。こんなくだらない本があることを初めて知った。さすが日経だ。

    「やっぱり、医局がスキ」の中身を読むと、アンケート結果を何となく集計したような記事でインパクトはとても弱い。「教授の奥さんに手下のように使われた。」とか、「教授が考えだした聞いたこともないような病型分類を使わないと教授が怒る」とか、医局の不合理が匿名で並んでいる。そのあとで、私たちの医局はこんなに素晴らしい、と教室員一同の集合写真や、教授、医局長の笑顔のならんだよいしょ的ルポが続く。最後に、医局秘書の特集までついている。あきれた記事だ。医局に身を置かない人は医局をまったく評価していない。だけど、医局の同門であるというしがらみは一生抜けないので、実名では医局を批判できない。一方、医局一筋の典型である教授や、その太鼓持ちの医局長なんていう人たちは、医局しか知らない、井の中の蛙が多い。だから医局は素晴らしい、医局にいれば死ぬまで安心だよ、とまるで地上の楽園、北朝鮮のようなことを言い、医局を批判する連中は医局に残れなかった負け犬さ、となる。でも、医局はどう考えても消滅すべきある存在だ。医師以外で、医局のような中途半端な、前時代的な仕組みがあるのは、相撲部屋ぐらいだ。

    Nikkei Cadetto」の記事には、肝心なことが抜けている。しかし、35歳以下のくちばしの黄色い連中には、理解できないことなのかもしれない。肝心なこととはこうだ。

    2004年に始まった研修制度は、医療崩壊の引き金になったとか、いろいろと批判も多い。手直しはされたが、さらに骨抜きにもなった。だからと言って時代錯誤的な「医局」に戻ることを推奨するなど具の骨頂だ、ノスタルジア、懐古趣味、古き良き三丁目の夕日の世界だ。Nikkei Cadettoの記事は、表紙の「やっぱり、医局がスキ」とは裏腹に実は、医局に将来はないということを明確に物語っている。新しい研修制度がどうこう、医局がどうこうというのではなく、35歳以下の若者が目指すべきことは、自分の人生は自分で切り開くということだ。そのためには、自分の付加価値を高めること。若かろうが年配であろうが、すべての医師には目には見えない「値札」が付いている。その値を決めるのは、患者である。医療者としての価値を高めるような研修を積んで、社会保障の一翼を担う天職を選んだ誇りと自信を持てるように日々の研鑽が必要だ。学位を取るのも付加価値を高める一つの手段ではあるが昔ほどの価値はつかないかもしれない。現在の専門医も制度的、内容的にはお粗末極まりないけれども、今後は名実共に医師の付加価値を裏打ちするような肩書になっていくだろう。また、医師としての基本的な態度、素養、コミュニケーションなどの技術、EBMの考え方、実践方法などを身につけ、世の中の役に立つような医師になろう、という志が大切だ。コンタクトレンズ外来とか、美容形成とか、くその役にもたたないような職業は医師が担当する仕事ではない。医師は、医師としての世の中から求められるような重要な職責を全うし続け85歳になったら社会的責務に幕をひく。90を過ぎてまで老醜をさらすべきではない。足元が明るいうちにグッドバイ、ということも大切ですよ、ひのじい、すぎじい、○○じい。

    医局に人生を預け、ご気楽ご気楽な生活をエンジョイする時代は終わったのだ。待遇がどうこう、拘束時間がどうこうと愚痴ってばかりいて、拘束時間は小説を読んで、時間がくると風のように立ち去る、医局から派遣されるアルバイト医師には、こんな行動をとる情けない人間が多いそうだ。しかし、自分の付加価値を高めるためには、医師としての自分が、世の中から、周囲から求められる仕事は何か、つまり自分のミッションはなんだろう、それを心得て情熱をもって、つまりパッションをもって、朝から明るく夜まで元気に、つまりハイテンションで仕事に臨む。この、ミッション-パッション-ハイテンションが重要なのである。この雑文も、「医局に人生を預けるな」の一部となります。

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